カテゴリ:おきらく教養講座( 3 )

この程使い込んだ財布を買い換えた。
犬顔が気に入っていたのだが、ついにおシャカに。

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おシャカになるとは
元々は阿弥陀像を作ろうとして釈迦像を作ってしまったという失敗から
役に立たなくなったものの事を言うそうです。
ま、使おうと思えば使えるが、、

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ここまでいったら許してもらえるか?
中の皮も剥げていろいろなものにくっつく。

良く働いてくれたので
額入りで労をたたえます、ありがとう。

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ついでながら、
先日母が聞いてきた。
シャカリキってよく言うけどどういういわれ?
この頃どうでもいいことばかり気になる、と。

シャカリキ=お釈迦さまが人々の幸せのために力の限りを尽くしたこと
(釈迦力)
本来はこういう意味だったが
この頃はシャカリキというコミック漫画もあるらしい。
=何かに懸命に取り組んだり躍起になって何かするということ。

この夏は、
とにかく日々の生活にシャカリキという気がしないでもない。
(特に母は)
同時に、そういう時の一番の息抜きは
どうでもいいことなんじゃないかな~と思ったりする。

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釈迦に説法でした、
すいません。















先日の映画では肖像画にも触れていて、
とにかく写真がない時代なので
肖像画は自分を世に知らしめる最適な手段。
特にお見合い写真の代わりに使われたので
腕のいい画家は特に重宝されていたようです。
学芸員さんが取り上げていたのはこの方の絵。

クリスティーヌ・ド・ダヌマルク
(1521~1590)

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描いたのはドイツ人のハンス・ホルバイン。
当時イングランドの宮廷画家で
折しもヘンリー8世の花嫁候補(4度目の后)を探すための
密命を受けていた。

彼女の内面や聡明さが漂う、目力のある良い絵です。
デンマークの姫として生まれ、
父の廃位後は一家でフランドルに亡命。
ミラノ公と結婚するも2年で死別し、
ブリュッセルの宮廷にいたところその人となりが目に留まり
喪服姿ながらお妃候補の絵となったもの。

ヘンリー8世は彼女に求婚します。
ホルべインお手柄、おめでとう!

・・となるべきところ、彼女はなんと
「私に二つの頭があったら王と結婚いたします」と
やんわりながら申し出を拒絶してしまった。

 何で?

相手はイングランドの国王じゃないの?
地位はあるし、オカネモチだし?

ここで私の検索癖がスイッチ・オン!
問題のヘンリー8世について調べたところ
王とは言え、とんでもない男。
もともとは教養もあり語学に堪能、
文学や音楽の才もある魅力的な人だったらしいのだが
どこでどうつまづいたか
女好き、非道、無慈悲、何人もの側近を反逆罪で処刑、
夫としても利己的きわまりない。
そりゃ私だって断るよ。
ま、求婚されたってわけじゃないですが・・・

以下、映画内容から全く外れます。
同じくホルべインが描いた肖像画。

イングランド国王ヘンリー8世
(1491~1547)

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王は生涯で6人もの妻をめとったが、その方々をざっと紹介すると、、

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1:キャサリン・オブ・アラゴン
スペインの出身、もともとはヘンリー8世の兄アーサーの後家。
両国の友好関係を保つための再婚であったが
ヘンリー8世には多くの愛人がいた上、
世継ぎの男子に恵まれず次第に疎まれる。
離婚を認めないローマカトリック教会と決別(英国国教会設立)してまで
ヘンリー8世は強引に離婚を成立させてしまう。
宮廷から追放され、最後は病死。

2:アン・ブーリン
前述キャサリン妃の侍女。
エリザベス一世の母。
好色な8世が手を出したものだが
この懐妊でアンが強く結婚を迫ったとか。
強い性格とすぐれた知性の持ち主だったが
政治に介入し過ぎたため敵も多く
頼みの綱の男児を流産してからは王の寵愛も冷め
最期は不貞という冤罪で王によって処刑されてしまった。
なんということか。

3:ジェーン・シーモア
またもや前述アン・ブーリンの侍女だった彼女と王は
アン・ブーリンの処刑10日後に再婚。
とうとう期待の男児(エドワード王子)を産んだものの
なんと産後の肥立ちが悪くて急逝してしまった。
お気の毒。

悲嘆にくれた王ではあったが寵臣のトマス・クロムウェルに命じて
ヨーロッパ大陸から早速次の王妃を探すこととした。
まったく懲りない男だ。
で、冒頭のクリスティーヌ・ド・ダヌマルクに白羽の矢が立ったわけ。

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だがおそらく彼女はいろいろな経緯を知っていたに違いない。
というのも
王の最初の妻キャサリン王妃は彼女の母方の大叔母。

やめといたほうが賢明ね、
王とは言えあの人は虐待癖があるわ、
DVじゃすまない、殺されちゃうかも。
そうよ、さわらぬ神にたたりなし。

と言ったかどうかはしらないが
絵が見事だっただけに王もその気になったのだろうが
結局この話は破談になった。
彼女はのちにロレール公となるフランソワと結婚して
そこそこの幸福な結婚生活を送ったようです。
ふぅ~っ。


長くなるので次に続く。













ナショナル・ギャラリー編、
まだまだ引っ張ります。

映画の中で学芸員さんが言っていた絵の物語性、つまり
絵を読み解くという話がとても興味深かったので
その中の一つをさっそく検索研究してみた。
たとえば、これ。

ルーベンスの代表作とも言える

サムソンとデリラ  
(ロンドン、ナショナルギャラリー)
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サムソンとデリラというのは旧約聖書に登場する人物で
舞台や映画にもなっているお話で有名だが簡単に説明すると

サムソン→ヘブライ人の英雄。
素手でライオンを倒したり
ロバの骨で一度に1000人をやっつけるほどの
怪力の持ち主。

デリラ→ペリシテ人の美女、娼婦。
サムソンを誘惑して強さの秘密を聞き出そうとする。

つまりペリシテ人がデリラを利用して
敵対するサムソンの弱点を探り彼の身を滅ぼそうと企てたのだが
デリラは見事にサムソンの心を奪い、毒酒を飲ませて
ついに彼の弱点を聞き出すことに成功する。
その弱点とは頭に剃刀を当ててはいけないというものだった。

上の絵は眠りこけたサムソンの髪の毛を切っているところ。
戸口に潜んでいるペリシテ人の兵は
彼を捕えようと手ぐすね引いて待っている。
サムソンは女にだらしないとの評判ではあったが
1000人を倒すほどの男がたった一人の女に凋落されるとは!
してやったりデリラ。

ところが、
学芸員さん曰く
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デリラの表情を見て下さい、
最初は命じられて復讐のために近づいたものの
何度も会っているうちに
彼女はサムソンを愛するようになってしまったのです。
左手は優しく彼の背中に置かれていて
下げている右手は彼女の心の逡巡を表している、、と。
なぬ?!

たしかに心なしか憂いを帯びているようでもある。

ところで、以下は映画には出てこないけど
この絵はどうでしょう?

とらえられたサムソン 
アンソニー・ヴァンダイク(ルーベンスの弟子)
ウィーン美術史博物館
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おまえ、俺をだましたのか!?
俺はほんとに愛していたのに、、、
この嘘つき女め、く○~!!

と言ったかどうかは知らないが
何て哀れな目をしているんでしょう、怪力サムソン。
とらわれたサムソンは兵に目玉をくりぬかれてしまう。
ひぇ~、怖いよぅ~~。


目をつぶされるサムソン
  
レンブラント 
(ドイツ・シュラーデル美術研究所)
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この絵ではデリラはまったくの悪女。
切られた髪を持って喜々としています。
ちょろいもんだわ、男なんて!

絵に登場している老婆はそこが娼館だからであり
取り持ち女(遣りてばばぁ)なのであれこれ指図しているようでもある。
ほら、さっさとやっちまいな!
この男が目を覚ましたらえらいことやで。
デリラ、衣装を汚すんじゃないよ! 
この婆さん、デリラに男をたぶらかす手練手管を教え込んだあげく
ペリシテの長にきっとリベートでも貰っていたに違いない。

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さて、その後どうなったかというと
囚われのサムソンはさんざん皆に罵倒されて
牢で粉を引かされ見世物になる。
恋は盲目というけれど
ほんとに目も見えなくなっちゃってどれだけ後悔したでしょうね。
オンナなんて二度と信じないぞ!

しかし、サムソンの髪が伸びたからなのか(?)
神に祈ったサムソンは力を取り戻し
くさりでつながれていた柱を倒し、建物を壊して
あまたのペリシテ人を道連れにして最期を遂げる。

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う~む。
描いた人、見る人によって絵はいかようにも解釈できる。
一枚の絵にもたくさんのドラマがあるんだよ、
絵はいろいろなことを教えてくれるんだよと
わたくし今回学びました。

さて、
デリラはほんとにサムソンを愛したのだろうか?
真相は 藪(やぶ)の中   
(芥川龍之介の短編、藪の中も必読)

あ~、げいじゅつは面白い! 



参考:
ルーベンス 1577~1640 ベルギー
レンブラント 1606~1669 オランダ(ネーデルランド)
共に17世紀を代表する画家。
絵もすごいがその生涯もドラマチック!

あちこちから写真を勝手にお借りしたうえ
Googleさんのお世話になりました、すみません。